土地区画整理事業とは


都市計画と土地区画整理事業

 都市は、多くの人が住み、活動し、憩う場所です。そこでは人々の意向が反映され、安全で、快適で、機能的であることが求められています。
 都市計画は、このような「まちづくり」を計画的に誘導し、人々の健康で文化的な生活と機能的な土地利用や都市の根幹となる施設(道路・公園等)の整備・改善をおこない、秩序ある市街地づくりを総合的に計画し、実施することを目的としています。
 都市計画法における都市計画は、「土地利用に関するもの」「都市施設に関するもの」「市街地開発事業に関するもの」の三つに大別されます。
 土地区画整理事業は、市街地開発事業の一部で、都市計画を策定する場である都市計画区域内の土地について、道路、公園等の公共施設の整備・改善及び宅地の利用の増進を図るため、土地区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更を行う事業です

 
土地区画整理事業の仕組み

 土地区画整理事業は、道路や公園などが未整備な区域において、地権者からその権利に応じて少しずつ土地を提供(減歩)してもらい、この土地を道路や公園などの公共用地に充てるほか、その一部(保留地)を売却して移転や整備工事などの事業資金の一部に充て、土地の区画を整え宅地利用の増進を図ります。

(1)換地  従前の土地(整理前の土地)の代わりに、これを整然とした土地に変えて交付する整理後の土地を換地といいます。
 整理後の個々の宅地は、整理前の土地の位置、面積、環境、利用状況などに応じて適正に定めます。現在の土地にある所有権、地上権、借地権などは、換地先に移行します。
(2)公共減歩  地区内に新たに設ける道路や公園などの公共施設の用地(公共用地ともいう。)は、原則として地区内の土地所有者が少しずつ土地を出し合うことによって生み出します。
 この新たに設ける公共施設用地に充てるため、所有者の土地が減ることを公共減歩といいます。
(3)保留地減歩  土地区画整理の事業費は、国、県、市などの補助金や負担金でまかなわれる場合もありますが、事業費の全部又は一部を土地所有者等が負担しなければならない場合もあります。
 この場合は原則として、金銭で負担するのではなく、地区内の土地所有者が少しずつ土地を出しあって保留地を設け、この保留地を処分して事業費に充てます。
 この保留地を設けるために所有者の土地が減ることを保留地減歩といいます。
 
土地区画整理事業の施行者

 土地区画整理事業の主な施行者は、次のとおりです。
 
(1)個人  一人施行と共同施行があります。
 一人施行の土地区画整理事業は、宅地について所有権又は借地権を有する者、又は所有権者又は借地権者の同意を得た者(法人を含む)が一人で施行します。
 共同施行の土地区画整理事業とは、宅地について所有権又は借地権を有する者、又は所有権者又は借地権者の同意を得た者が、数人共同(7名未満)で施行します。
(2)組合  ある一定の区域を施行地区と定めて、その施行区域内の土地について所有権又は借地権を有する者(7名以上)が、土地区画整理組合を組織して施行します。
  詳細については、ここをクリック 
(3)区画
  整理会社
 宅地について所有権又は借地権を有する者を株主とする一定の要件を満たす株式会社は、その所有権又は借地権の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行します。
(4)地方公共
  団体
 都道府県又は市町村が、施行区域内の土地を施行地区とする土地区画整理事業を都市計画事業として施行します。
  詳細については、ここをクリック
(5)行政庁  国にとって重要な施設の整備や災害復興などで急施を要すると認められる場合に、国土交通大臣、都道府県知事、市町村長が施行します。
(6)公団等  宅地の供給等を目的として、都市基盤整備公団、地域振興整備公団、地方住宅供給公社が施行します。


土地区画整理事業の役割と効果

 土地区画整理事業は、道路、公園、下水道等の都市施設の整備を行いながら、宅地を再配置して、新たな街並みの形成や既成市街地の再整備を行う「まちづくり」の手法で、都市整備上最も中心的な役割を果たしてきました。
 しかし、昭和30年以降の急激な人口増加と都市地域の拡大によりできた既成市街地においては、道路、公園、下水道等の整備の立遅れによる都市機能の低下、木造家屋の密集や住宅と工場の混在化等による都市施設の不整備などにより、防災性をはじめとする市街地整備の水準が依然として立ち遅れており、また、地方都市の中心市街地の空洞化などの新たな課題も顕在化してきています。
 このような課題に対して、活力ある社会の形成と安全で豊かな生活を可能とする「まちづくり」を進めることが、土地区画整理事業に期待されています。

土地区画整理事業の流れへ >>

先 頭へ